ビジョンなんて誰も必要としていない?
【荻上チキインタビュー 第1回】「一般意志2.0」を現在にインストールすることは可能か?(最終回) 東浩紀×荻上チキ
東浩紀:
マルクス主義はたんなる社会思想以上の体系性をもっていましたからね。いろいろなものをまとめることができた。それが、冷戦体制が崩壊して、マルクス主義が事実上、消滅してしまうと、本当になにもない。残るのは個別案件だけ。その状況で左翼のリベラルが何を言っているかというと、結局「民度を高めましょう」しか言っていないわけですよ。
その前は「革命しよう!」だったんだけど、革命は無理だということになった。資本主義は避けられない。であれば、せめてそのなかで民度を高めて、エコ意識を持って人間らしく生きていきましょう、と。ただそれだけのことを小難しく言うだけの存在に、リベラルはなり果ててしまった。そこには社会改革のビジョンも何もない。彼らが思想書を何のために読んでいるのか、率直に言ってぼくにはわからない。そこから導き出せるのは非常に貧弱な、つまらない自己陶冶の倫理でしかない。「つねに弱者のことを気にかけて生きていきましょう」という程度の話でしかない。そんなの思想書なんて読まなくてもわかる話ですよね。
-
kazeto posted this